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明日は良い日になる スリランカのおばさんラッキー

こちらで知り合ったスリランカ人のおばちゃんがいるんだけど、(どう知り合ったかと言うと、明らかに怖いバスの運転手にバスの行き先をオドオドしながら聞いていていたら、私もそこに行くのよー!一緒に行きましょー!と手を握られた。そして連絡先を交換した)それから数回会うようになった。このおばちゃんは、20歳ぐらいの娘がいて、自分はずっとスリランカで看護師として働いていたけど、娘がオンラインだけで英語を学んでイギリスの大学に進学したことに影響され、自分も昨年からイギリスに住んでいる。看護師の経験を活かしてイギリスでは老人宅への訪問介護の仕事をしているらしい。英語を学んでゆくゆくはイギリスでも看護師として働きたいと言っていた。

娘と一緒に暮らしているのかと思いきや、娘はイギリスの全然違うエリアに住んでいるので、ケンブリッジで1人暮らしをしている。このおばちゃん、名はラッキーと言う。ニックネームかと思いきや本名らしい。

ラッキーはおそらく英語能力は私と同じぐらいなのに色々なことに全く動じない。ラッキーはいまの家に不満があるらしく、私にも一緒にルームシェアをしないか!と頻繁に誘ってくる。この前一緒にいた時には、ラッキーは目の前の家に「FOR RENT」と札が掛かっているのを見つけて、下に書いてある不動産屋の電話番号にいきなり電話をした。「私いま家の前にいるの。いま時間あるから家見せて」と言っていた。もちろん今すぐは無理だった。しかもラッキーは裏口に回って、勝手に入ろうとしたし、窓の外からできる限り中を覗いていた。結局家の中は鍵が閉まっていて結局入れなかった。良かった。

その後2人でバスを待っていたら雨が降ってきた。雨の中、向こうからバス停に向かって人が歩いてきた。傘を持っていない。雨がキツくなってきた。ラッキーはすかさず自分の傘にその知らん人を入れてあげた。(ラッキーすごい。尊敬する。)ラッキーの親切な行動がきっかけで、土砂降りの中、バス停の前で私達3人は自己紹介をすることになった。雨が強すぎで声を張り上げて自己紹介をした。その人はこちらに20年住んでいるインド人だった。

やっとバスが来てバスに乗った。ラッキーは、「私部屋を探しているの」とその人に話したらその人は「私ケンブリッジに住んで長いし、不動産関係の仕事をしている友人もいるわ。紹介しようか?」とのこと。ラッキーは大喜びでその人と連絡先を交換していた。その様子を私は隣で見ていた。

ラッキーが話してること、私は全部わかるし、ラッキーは「あなたの方が私よりずっと英語話せるわよ!あなたすごいわよ!ペラペラよ!日本で食品メーカーで働いてたならこっちでも受かるわ!私がテスコ(スーパー)に募集あるか聞こうか?」とか言ってくる。お世辞ではなく本気だと思う。

でも私はラッキーみたいにさっき会ったばかりの人とバスで隣の席には座れないし、30分も話せない。物理的にはできるかもしれないけど、私の精神的にそんなこと私の英語力では怖くてできない。向こうがネイティブだったら。早口だったら。会話が続かなかったら。こいつ話せないくせになんで話しかけてきた。そう思われたら。考えてしまうと何にも出来ない。

ラッキーのこと、まだ全然知らないけど、ラッキーは「この人と私は楽しく過ごせる」ということにおいて、すごく楽観的だし、自信がある。そして「私の目の前の人は良い人である」と信じているように思う。もちろんラッキーは私よりずっと年上だし、人生を重ねてきた経験もあると思うけど。

まあラッキーみたいな大阪のおばちゃんみたいな人のこと、嫌いな人もいるかもしれないけど、私は数回しか会ったことがないのに、彼女のことがすごく好きだし、ラッキーといると魔法がかかったみたいに気持ちが明るくなる。ラッキーを見ていると、目の前の出来事について希望的観測を持った方がいいし、自分が明るくて、悪いことは何もないんだと思える。

イギリスにいると、仕事で褒められることもなく、売り上げを上げられることもなく、ずっと身近にいた友達も遠くて、タロウ氏も忙しくて私と話す時間なんてほどんどなくて、勉強すれば出来ないことにばっかりに目が向いてしまって、学校ではいつも私が一番出来ない人で悲しくなるけど、そんな時は(というか毎日だけど)ラッキーを思い出すことにしようと思う。ラッキーみたいにはなれないけど、私も明るくいた方がいいと思う。

明日もきっといい日になると思う。

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